International Health Care Center,NCGM

国際診療部の研究活動

◆「休日・夜間の外国人患者対応及び医療通訳に関する基礎調査」2016年8月実施

 

観光庁が2016年3月に公表をした「外国人旅行者がスムーズに医療機関にアクセスできるよう,観光庁と厚生労働省が示した要件に基づき外国人旅行者の受入が可能な医療機関」332医療機関に質問紙調査へ協力を依頼した。

設問の内容は「英語以外の言語での対応」「夜間・休日の通訳対応」「医療機関の外部の通訳の活用」「通訳を担当する者の基準」の4領域とした.

有効回答数は158件(47.6%),回答医療機関の内訳は、病院 86.1%、診療所13.3%、その他0.6%であった.

1)平日昼間に英語以外の言語での診療が可能な医療機関

半数の医療機関で英語以外の診療対応が可能.その他の言語別では中国語(59),韓国語(30),スペイン語(19),ポルトガル語(18)が多かった.

2)夜間・休日における英語以外の言語での診療

夜間や休日の英語以外での外国人患者対応が可能と回答をした医療機関は24.1%,英語以外での対応はしていない医療機関が33.5%,もともと夜間・休日の外国人の対応をしていない医療機関が41.1%であった.

3)医療機関内で対応が難しい言語の患者が受診した際の医療機関以外の通訳活用

対応ができない言語の患者は受け入ていない医療機関が16.5%,外部通訳の仕組みがない医療機関が43.7%であった.外部通訳の仕組みがあると回答をした医療機関は39.2%で,その仕組みとして最も回答が多かったのは自治体派遣の通訳21.0%(13),次いで多かったのは契約している遠隔通訳11.3%(9),非営利団体派遣の通訳4.4%(7)であった.

4)院外の医療通訳を活用する場合の費用負担

回答のあった63医療機関のうち,最も多かったのは医療機関の負担33.3%,患者(家族)の負担が19.0%,患者と医療機関が負担をするのは12.7%であった.

5)院内で医療通訳を担当する人の基準(語学力)

回答のあった158医療機関のうち医療通訳について院内で独自に基準を設けているのは3.2%であり,95.6%が基準を設けていなかった.

 

本調査は観光庁が提示した条件をもともと満たし,自治体が推薦を行った医療機関であること,回答率が50%を切っているため通訳体制の準備が進んでいる医療機関が積極的に回答をした可能性があり,日本における訪日外国人受け入れ環境の整備状況についての説明は困難である.しかし,一定の条件を満たした医療機関においても,英語以外の診療や休日夜間の対応での課題があること、医療通訳を担当する人の基準が明確ではないことが把握された.

 

今後訪日外国人に安全・安心の医療を提供するためには,通訳の運用のための費用,休日・夜間に患者や医療機関が困らないような体制づくり、職員の研修会の提供などの支援を国や自治体が行うことが重要と考えられた(本調査結果は日本渡航医学会で発表予定).